書道

おとな「書道」始めたくなったら。

最近、世間はどうやら「美文字」ブームらしい。

書店をのぞくと「美文字練習帳」とか「簡単にアナタも美文字が書ける!」的な本が目に入る。
昔から『日ペンの美子ちゃん』はあったけど、SNSやメール全盛のこの時代に、今さらなぜ「美文字」が流行るのか。ほんと世の中の流れって不思議。そもそも、「美文字」なんて言葉自体、少し前までは無かったと思う。

芳名帳のため?

美文字系広告やCMにおけるお決まりのシチュエーションは「結婚式の芳名帳記入で、字下手ではずかしぃ〜!編」か「(同)字上手くてフフーン編」のどちらか(あるいはビフォーアフターの合わせ技)だけど、みんな人生で結婚式に一体何回呼ばれてるんだ?!

前置きが長くなったけど、いやいや、別に美文字ブームに物申したいわけではないのです。せっかく興味をもったのなら、日本の伝統文化である「書道」を始めてみてはいかがでしょう、という話なのだ。

「お習字」やってました?

DSCF3381

大人の方なら、子どもの頃の習い事で「習字」に通っていた方が多いのではないだろうか。かくいう私も子ども〜中3くらいまで続けていたものの、高校受験を機にフェードアウト。結構好きだったのに。そんな方もまた多いのでは。

私の場合、1年前に再び書道を習い始めたわけだが、動機の一つは、目指す通訳案内士になれたらぜひ訪日外国人の方々に書道の魅力を伝えたいし、体験してもらいたい、という思いからだ。単なるアクティビティとしてではなく、本物を伝えたい。そのためには、知識師範の免状が必要だと思った。

教室の見つけかた

さて、習おうと決意したところで、問題は「どこに通うか」である。
今やカルチャー教室・会社の経営する団体・書道会の支部・個人の教室まで様々あり、まったく知らない教室に行くのは勇気がいる。昔通っていた教室が存続していて通うことが可能なら、そこに戻るのが一番無難だろう。

既に地元を離れている場合など、復帰することが難しい場合は、書道会が開催する展覧会に行ってみるのがオススメ。昔通っていた教室が所属している書道会の展覧会があればベストだと思う。習ったことがない方は、まず近所の文化センターなどで開催予定をチェックしてみよう。

DSCF3327

展覧会はたいてい無料で入場できる。会場の入口には受付があり、品のよい方々(実は師範以上の方がほとんど)が例の芳名帳を構えて待っている。

書道展で芳名帳とは、結婚式どころじゃないプレッシャー!しかも置いてあるのは筆ペンなんて甘いもんじゃなく筆と硯だったりする。でもここでひるんではいけない。

この字をなんとかしたいんですぅ〜」と心の中で叫びながら、慣れない小筆と墨に悪戦苦闘しながら記入する。「どうだ参ったか!この字をなんとかしたくなっただろう!」と凄む(心の中で)。受付の方は笑顔でパンフレットを差し出してくれるだろう。

無事入場を果たし、作品を鑑賞。ちなみに、私の所属する会の展覧会では「臨書」といって、要は昔のスゴい人が書いたものを真似して書くという作品が基本なのだが、はっきりいってどれが最高に上手くてどれがイマイチなのか、見て回ってもさっぱりわからない。

知ったかぶって「これはイマイチなんじゃないかな〜?」なんて思ったら、実はそれが特別展示級のすんごい人の作品だったりする。「書道」と「習字」の壁を痛感させられた。

そしていよいよ本題へ!

かくして鑑賞を終え入口に戻り、受付の方に切り出す。
「あのぅ、昔この書道会で習っていたものですが、また書道を習いたいと思いまして。教室を紹介していただけないでしょうか。」
すると、書道会の主幹(代表)に確認して後日連絡をくれるとのことで、連絡先のメモ(また面前で字を書くハメに)を渡して帰宅。

後日、郵便で主幹自らより教室紹介の手紙をもらい、教室にドキドキしながら電話をかけ、一度体験稽古をし、無事入会を決めることができた。

習い始めて1年が過ぎたが、大人になって始める書道には、子ども時代の習字では知り得なかった発見や魅力がたくさんある。

この記事を書いたのも、「また習ってみたいけど・・」と思いながら二の足を踏んでいた、自分と同じような心境の方がいるのではないかと昨今の美文字ブームを見て思ったから。そうした方の参考に少しでもなればうれしい。