本日のニュースで、観光庁が「広域観光周遊ルート」を7つ認定したと報じられました。
観光庁では、複数の都道府県を跨って、テーマ性・ストーリー性を持った一連の魅力ある観光地をネットワーク化し、外国人旅行者の滞在日数に見合った「広域観光周遊ルート」の形成を促進し、海外へ積極的に発信する「広域観光周遊ルート形成促進事業」を実施しているところです。
各地域からの広域観光周遊ルート形成計画の申請を受け、今回、国土交通大臣が下記7件の広域観光周遊ルート形成計画について認定をいたしましたのでお知らせいたします。
(観光庁ウェブサイトより引用。)
詳細を見てみたところ、面白いネタが転がっていましたので…もとい、通訳案内士試験対策や資格取得後の就業を考える際の参考になると思い、概要をまとめました。
目的は「ゴールデンルート」に集中する外国人観光客を分散させること。
東京〜富士山・箱根〜京都〜大阪 をめぐる「ゴールデンルート」に観光客が集中しすぎてインフラが追いつかず、第2・第3のゴールデンルートを作ろうと持ち上がったのがこの計画らしいです。2匹目のドジョウ狙い的な側面も。
そこで、国が「整備に補助金出すよー」と呼びかけ、各地域が計画を作り提出。今回そのうち7つが認定されたというもの。
観光庁の検討時期と通訳案内士試験作成の時期がかぶっているのではないかと推測し、通訳案内士試験で出るんじゃな〜い?! と早速内容をチェックしたわけです。
それは、地域対抗歌合戦のプログラムだった。
まずは、ともかくこのリストをご覧ください。
もー吹き出しました実際。これを載せたくてこのエントリ書いてるようなもんです。
だってこれ、完全に紅白歌合戦でしょ。特に真ん中あたり、中部から四国への流れが最高にツボで脳内歌合戦が止まりません。
男性ラップグループによる「昇竜道 -SHORYUDO-」につづき、紅組の人気アニメソング「美の伝説 -THE FLOWER OF JAPAN-」。そして、ベテラン演歌歌手がしっとりと「せとうち・海の道」を歌い上げます。
「ひがし北・海・道」はアイドルグループ、「温泉アイランド九州」は間違いなくデュエットでしょう!
・・・中部・関西の組織はゴールデンルートと同様に、この名称をインバウンド業界に浸透させようと本気で考えているのでしょうかね。
<使用例>
「昇竜道が訪日観光客に大人気です」
「美の伝説に訪日観光客が集中しています」
ヤンキーが学ランに刺繍していそうな趣を感じますが、こうしてみるとまだ昇竜道はイケるか?・・・って、なんのこっちゃ。
なんて書いてたら、NHKで昇竜道を命名された方がその思いを語っていらっしゃるではありませんか。ごめんなさい、おじさま。悪気はないんです。ただいじりたかっただけなんです。(土下座)
で、実際どんなルートなのよ
・・・いや、私だってこのように100%不真面目な人間ですけど、もちろん調べましたよ。実際どんなルートなのかを!
きっと練りに練られた計画が公開されているだろうと、リストのおもしろ名称や団体名をいくつかグーグル検索しました。が、組織以外ヒット0。
まぁ観光庁に認定されたからには計画書は存在するのでしょうから(まさかネーミング大賞ではあるまい)、一般に公開されていないだけなのでしょう。今回認定され、全てはこれからというとこなのでしょうな。
観光庁が公表しているざっくりルート
ということで、今のところ観光庁のページで公表されている3つの添付資料PDFが全てのようです。
1つずつ見ていきましょう。
1.位置図
えーっと、ちなみに私は最初これを見たときに言葉を失いましたがごきげんいかがですか。
この落書きと見まごうばかりのダイナミックな曲線を日本地図に描けたことはスゴいことだと思います。
そしてここでの一番の名言はなんといってもこれです。
“骨太な観光導線”
最近やたらと政府系の発信で「骨太」という表現が出てくる気がしますが、政府内ブームなのでしょうか。
ちなみに昨日ニュースを見ていたら「骨太な方針の骨子案」とか出てきて、頭の中が牛乳とカルシウムとホネホネロックでいっぱいになりました。
♪ほーねほねぇ〜・・ホネロック!!
で、ほねぶとな観光導線ってなに・・・?(真顔)
とりあえず、「だいたいこのあたりなんだー」というイメージと「関東甲信越、完全置き去りねー!」とやるせなさを感じたところで次行きましょう。
2.認定一覧
内容の肝心な部分はこの資料にまとめられています。
特に、主な「観光拠点地区」と「形成計画の概要」(緑で囲った部分)は通訳案内士試験対策でも重視したい部分です。別紙1で描かれていた曲線からは見てとれない具体的な周遊地域名、ターゲッティング、アピールポイントなどを把握することができます。
ぜひ旅に出たくなる地図や観光ガイドで照らし合わせて確認しておきたいところです。
3.形成促進について
3つ目は、今後のルート計画の具体的な方針を知ることができる資料です。
訪日観光計画の方針を把握するとともに、有資格者になれた暁にはどのような分野でインバウンド観光に関わるかを考える上でもいい材料になりそうです。
周遊ルートは誰が決める?
以上、7つの周遊ルート認定のニュースについてお送りしましたが、ゴールデンルートの強みはなんといっても”東京・京都・富士山・東海道新幹線“の存在でしょう。
そして、「これをゴールデンルートとしてアピールしよう!」と創りだされたというよりは、訪日旅行者の人気によって生まれた鉄板ルートをそう呼ぶようになったというところではないでしょうか。
そう考えると、FIT(個人旅行客)にわかりやすい情報とインフラを提供することに注力すれば、周遊ルートなんてものは旅行者の選択によって生み出されていくものなのかもしれませんね。骨太のね。
ー このエントリの引用・参照元ページ ー
■ 観光庁:広域観光周遊ルート形成計画の国土交通大臣認定について
■ NHK NEWSweb:外国人旅行者向け 7つの観光ルート選定